まずは普通のガラス風鈴から。澄んだ感じのカランカランという音がします。
続いて江戸風鈴。よく音を聴くと、先ほどの風鈴とは明らかに異なる特徴があります。
ということで、違いがわかりましたでしょうか?江戸風鈴の方は、風鈴の中にある音を鳴らすおもり、舌(ぜつ)が鳴り口に触れ合ったときにザラザラした感じの音が出るんです。これは、江戸風鈴は音が出やすいように、底面をわざとギザギザにしているからなんです。
もう一組、今度はたくさんの風鈴があった場合、それぞれどう聴こえるのかを観てみましょう。
まずは浅草ほおずき市での普通のガラス風鈴の音色。やっぱり鳴り口がつるつるしているだけあって、クリクリした感じの音色になりますね。
続いて靖国神社みたま祭りでの江戸風鈴。たくさんの風鈴になってもジャラジャラした音がするのがわかりますね。
ということで、江戸風鈴と普通のガラス風鈴の音が明らかに違うことがわかったと思います。人によって好みは分かれるかもしれませんが、風鈴の音が出やすいように、昔ながらのザラザラを付けた作り方をしているのが江戸風鈴の特徴なのです。
最重要の音の違いについて説明をしたので、あとは補足になりますが、江戸風鈴の3つの特徴、
・風鈴の縁の部分がギザギザ
・型を使わない宙吹きによって作られる一つ一つ違う形と音色
・風鈴の内側から絵付けを行う
について説明をします。
1.風鈴の縁の部分がギザギザ
(画像は楽天市場江戸のれん様より)記事最初の音の違いのところで既に説明をしているので補足にはなりますが、改めて風鈴の鳴り口の部分を見てみると、さらによくわかるかと。本来はガスバーナーで焙れば簡単につるつるにできるところを、こんな感じで「あえて」ザラザラにすることで、風鈴のおもりがわずかに触れただけでも音が鳴りやすいようにしているのが、江戸風鈴の最大の特徴です。
2.型を使わない宙吹きによって作られる一つ一つ違う形と音色
(画像はYouTube:江戸風鈴/篠原風鈴本舗の技術より)江戸風鈴は、ガラスを膨らませるやり方として宙吹き(ちゅうぶき)という昔ながらの方法を使っています。これは、型を使わずに、長い竿を均等に回して吹きながら空中でガラスを膨らませて形を整える方法です。この方法でやることによって、一つとして全く同じ形の風鈴はない、手作りならではの良さが生かせるのが特徴です。
では宙吹きではない風鈴はどうやって作っているのか、というのを参考までにご紹介しましょう。例えば虹色風鈴という風鈴は、型を使った「型吹き」という方法を使っています。
(画像はほぼ日刊イトイ新聞:虹色風鈴ができるまでより)
もう一例、可児ガラス工房という愛知のガラス工房でも「型吹き」による風鈴作りをしています。
(画像は可児ガラス工房のブログ様より)
ということで、風鈴作りには大きく宙吹きと型吹きという2つの方法があります。型吹きのよいところは、型があるので、全部同じ形に作ることができるところです。今回挙げた2つの事例のように、手作りでも型吹きで作っているところもあります。機械で作る場合もこうした型を使って製造をします。
どちらの作り方が良い悪いということではなくて、それぞれ個性、特性が異なるということですね。
3.風鈴の内側から絵付けを行う
(画像はCultivate Meisters様より)江戸風鈴の3つ目の特徴は、絵が取れにくいように風鈴の内側から筆を使って絵付けをすることです。赤・青・緑・黄・白の5色の油性の顔料で絵付けをするのですが、色を塗っては乾かし、また塗っては乾かしを繰り返す必要があるため、簡単なもので2,3日、難しい絵柄だと数週間かかることもあります。江戸風鈴の値段は、形や大きさだけでなく、こうした絵柄の複雑さ、色の多さによっても変わってきます。
ちなみに浅草のほおずき市などで売られている安価な中国製の風鈴は、プリントによる絵付けなので、絵の感じが江戸風鈴と異なります。
ということで、以上3つの江戸風鈴の特徴をご紹介しました。絵柄に関しては、制限を付けずに自由にいろいろ挑戦をされているようです。伝統的な絵柄は赤の風鈴ですが、人気の金魚や花火の絵柄や、ワールドカップのときにはサッカーボールの絵柄、円谷プロダクションとコラボしてウルトラ怪獣の絵柄の風鈴なども製作されています。
江戸風鈴は楽天市場などでも限られた店舗で販売をしているので、好みの絵柄を見つけてみるのもよいかと思います。
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