江戸風鈴の種類と音色の違いから選び方を解説

江戸風鈴は、現在篠原風鈴本舗と、そこから独立した篠原まるよし風鈴の2箇所の工房でのみ製作されています。すべてが昔ながらの手法による手作りであり、職人による製造数にも限界があるため、販路も限られているのですが、楽天市場などのネットショッピングモールでも一部の店舗で取扱いがあります。

価格に関しては、同一種類の商品であれば、どのお店でも同じ価格で販売しているため、どのお店で買うかを特別意識する必要はありませんが、江戸風鈴もいろいろ種類があるため、単に「江戸風鈴」でショッピングモールで検索しても、価格が同じもの、違うものなどがいろいろ表示されてわかりにくいのではないかと思います。

また、江戸風鈴で検索しても江戸風鈴でないものが混じってしまっていることもしばしばあります。ということで、ここでは江戸風鈴にはどんな種類のものがあって、違いは何で、どう選べばいいのか、選び方を解説しようと思います。

江戸風鈴とは

江戸風鈴というのは、篠原風鈴本舗の会長である篠原儀治(よしはる)氏が、江戸時代から昔ながらの手法で手作りで製作されているガラス風鈴を昭和40年(1965年)に「江戸風鈴」と名付けたものです。現在は篠原儀治氏とその長男である裕(ゆたか)氏がいる篠原風鈴本舗と、儀治氏の次男篠原正義(まさよし)氏が独立して営んでいる篠原まるよし風鈴の2箇所で製作されています。

江戸風鈴の特徴は3つあります。

・風鈴の縁の部分がギザギザ
・型を使わない宙吹きによって作られる一つ一つ違う形と音色
・風鈴の内側から絵付けを行う

ということで、通常の市販のガラス風鈴とは音色が違い、また手作りなので同じ種類の風鈴でもすべて音色が異なります。詳しく知りたい方は、下記に普通のガラス風鈴との音色の違いを比較した記事を書きましたのでご参考いただければと思います。
江戸風鈴と普通のガラス風鈴の違いを音で比較してみる


江戸風鈴の種類

江戸風鈴はサイズが3種類、形が4種類で、理論上は大きく12種類あります。まずは篠原風鈴本舗のページから引用させて頂いて、それを解説します。
篠原風鈴本舗:江戸風鈴って?
まずはサイズから。左から小丸、中丸、大丸です。それぞれのサイズは、
小丸が直径約8cm×高さ約7cm
中丸が直径約10.5cm×高さ約9cm
大丸が直径約12cm×高さ約11cm
となりますが、基本的に販売されているのは小丸です。ネット上でも販売されている江戸風鈴のサイズはすべて小丸でした。ネット上で江戸風鈴を探していて「小丸」という言葉が出てきたときは、あぁサイズのことなんだなと理解しておけばよいかと思います。

次に形。左からひょうたん、しんすい、小丸、すずらんです。
ひょうたんは直径約8cm×高さ約12cm
しんすいは直径約8cm×高さ約10cm
小丸は直径約8cm×高さ約7cm
すずらんは直径約4cm×高さ約5cm
となりますが、一番スタンダードな形であり、人気があるのはやはり小丸です。なので、とりあえず何か江戸風鈴が欲しい場合は、小丸で探すのが無難かと思います。

ひょうたんは見ての通りひょうたんのような形をしたものです。
しんすいは篠原まるよし風鈴の方では釣鐘型と呼んでいるもので、釣鐘のような形をしているため、小丸より深みのある音がします。江戸時代のガラス問屋の見本帳に載っていたものを復元したとのこと。
すずらんは名前の通り花のすずらんのような形をした小ぶりな風鈴です。

江戸風鈴の選び方

以上が、サイズと形をベースにしたひと通りの説明にはなるのですが、ネット上で実際に販売されている江戸風鈴は、以下のように分類して選んでいったほうがわかりやすいかなと思います。

ネット上で取扱いの多い順に記載すると、

・小丸:一番スタンダードな形
・特選小丸:サイズや形は小丸と同じだが絵柄の手が込んでいる
・ひょうたん:ひょうたんの形をした風鈴
・しんすい:釣鐘の形をした小丸より膨らんだタイプの風鈴
・すずらん:花のすずらんの形をした小丸より小ぶりなタイプの風鈴

の大きく5種類があります。これに加えて、小丸サイズの江戸風鈴に江戸切子、美大生とのデザインコラボ、ウルトラ怪獣とのコラボ風鈴などの特別デザインを施したものが加わる感じです。

それでは音の違いも含めて、一つ一つ見ていきます。

江戸風鈴「小丸」1700円+税

江戸風鈴の一番基本的な形です。このタイプの風鈴が一番多く作られ、また一番多く売れています。絵柄は大きくは赤や黄色の色付き風鈴と透明な風鈴に絵を施したものの2種類に分けられます。では、小丸タイプの江戸風鈴の音を聴いてみましょう。


ガラス風鈴といえば、透明なものの方が馴染みがあるかと思いますが、江戸時代には、魔除けの意味合いのある赤塗りの風鈴が一般的だったようです。

現在人気のあるデザインは透明タイプで、絵柄は金魚が一番人気、次いで花火の絵柄が人気です。
⇒江戸風鈴「小丸」の商品一覧

江戸風鈴「特選小丸」2300円+税

特選小丸は小丸と形は同じで、絵柄をより複雑にしたものです。江戸風鈴は風鈴の内側から赤・青・緑・黄・白の5色の油性の顔料を用いて絵付けをしているのですが、色をたくさん使う絵柄の場合は、塗っては乾かし、塗っては乾かしを繰り返す必要があるため、簡単なもので2~3日、複雑なものだと数週間かかるものもあります。

小丸と特選小丸のわかりやすい例としては、人気の金魚の絵柄で比較してみるのがよいでしょう。
左が小丸の二色金魚、右が特選小丸の五匹金魚です。このように特選小丸は小丸よりも絵柄を複雑にしています。せっかく江戸風鈴を買うなら絵柄にこだわりたい、という方は特選小丸から選ばれるとよいかと思います。特選小丸で人気の絵柄は、「五匹金魚」や「波に千鳥」という千鳥に加えて、涼しげな青々とした波を描いた絵柄が人気です。
⇒江戸風鈴「特選小丸」の商品一覧

江戸風鈴「ひょうたん」2500円+税

小丸、特選小丸に次いで人気なのがこのひょうたんの形をしたひょうたん型の江戸風鈴です。風鈴の形が異なるので、音の聴こえ方も変わります。聴いてみましょう。


先ほどの小丸のキンキンとした音と比べると、ひょうたん風鈴の方は、音が風鈴内部に響いて、カランカランとした音色になっているのがわかるかと思います。江戸風鈴ならではの形かと思いますので、こちらの音色や形が気に入った方は、ひょうたんを選ばれるのがよいかと思います。

ひょうたんで人気の絵柄は、定番の花火や金魚に加えて、伝統的な赤塗りの絵柄も人気があります。ひょうたんといえば赤のイメージがあることに由来しているのかもしれませんね。
⇒江戸風鈴「ひょうたん」の商品一覧

江戸風鈴「しんすい」3000円+税

お寺の釣り鐘のような形をした小丸よりも高さのあるタイプの江戸風鈴です。小丸よりも風鈴内部が大きい分、深みのある音になるようです。ネット上で動画は上がっていなかったので、音は聴けませんが。

スタンダードな小丸の風鈴の形をイメージして「しんすい」を購入してしまった方の中には、形が歪んでいるように見えてしまった方もいるようですが、そうではなく、こういう形なんです。ということで、もしお中元、お歳暮など、プレゼントで江戸風鈴を検討される方は、無難な小丸か特選小丸で選んだほうがよいかもしれませんね。

人気の絵柄は椿や金魚、他には藤の絵柄も人気です。
⇒江戸風鈴「しんすい」の商品一覧

江戸風鈴「すずらん」1000円+税

小丸よりも一回り小さい、花のすずらんの形をした風鈴です。江戸風鈴の中で一番安い風鈴ですが、お店でもネットでもあまり出回っていないようで、楽天市場だと現在1商品のみ取り扱いがあります。

これも持っている人が少ないようで、ネット上で音は上がっていないのですが、一般的に風鈴が大きいほど、深みのある音色になるので、小丸より小さいということを踏まえると、より高い感じの音になるのかなと思います。
⇒江戸風鈴「すずらん」の商品一覧


その他の江戸風鈴

江戸風鈴は上記基本5種類の他、いろいろな企業や職人とコラボした作品も出ています。宙吹きによって作られることと、絵柄は風鈴の内側から描くことさえ守れば、デザインに関しては自由なのです。いくつか人気のものをご紹介します。

美大生の方がデザインをした江戸風鈴で、画像だとちょっと地味なのですが、風鈴の中に入れたビーズに蛍光塗料を塗っています。夕暮れの中、この風鈴が風を受けると、草むらの中で蛍が飛び回るかのごとく、風鈴の中の蛍光ビーズが揺らめくというアイデアが素晴らしく、人気のデザインになっています。

これも美大生の方がデザインをした人気の江戸風鈴。七夕の夜空と風に揺れる笹を風鈴に閉じ込めた目を奪われるデザインは根強い人気があります。

本物をとことん追求して作った作品がこれで、なんと江戸切子の職人、伝統工芸士の但野英芳氏と組んで、江戸風鈴に見事なペガサスの彫刻を施しています。



ということで、江戸風鈴の種類や音の違い、選び方についていろいろとご紹介しました。ご参考にしていただければと思います。